この地球儀は、支柱の上部に付いている電磁石の磁力と本体の重量があるポイントでバランスを保つように設計されていて、本当に宙に浮いている。
エアコンの幽かな風でユラユラ揺れながら回転するし、普通の地球儀のように本来の使い方をしようと国を探すためには指先でそっと触れないと落ちてしまう。
知らないうちにデスクを揺らしたのか、気がつくと上の磁石にピタッとくっついていることもある。
しかし絶妙のバランスが保たれているいつもは、不安定な感じは微塵もない。
そこに浮かんでいるのが当然のように、当たり前のように見える。
この地球儀の宙ぶらりんの姿は、身の回りにあまり存在しない不思議な感覚。
小さな、情報量の少ない地球儀だけど、その不思議な浮遊感に、思わず時を忘れて眺めていることがある。
中途半端な心地よさ。。
余計な刺激さえ与えなければ、こいつはユラユラといつまでも浮いている。
見ていて楽しいし、なにより落ちそうで落ちない危うさが最大の魅力である。
仕事に疲れたとき、ボクはロウソクの揺れる炎を見たり、この地球儀を眺めたりする。
フッと息を吹きかければ、炎は消える。
ツンと突けば、地球儀は落ちる。
そのギリギリで遊びたくなる。
揺れない炎と地球儀。そんなのつまんない。
なので、ボクはエイヤっ!とつついてみる。
落ちたら、また宙ぶらりんの位置に戻せばいいのだ。
そして、またきっと、ツンっとつついてみる。たぶん。